スーツケースのまくら

電車がゆれても

となりの人が立ちあがっても

わたしはまだ夢のなか。

パパの手が

そっと髪にふれて

優しくほっぺをなでている。

そのぬくもりは

目をとじていてもわかる。

きっとこうして

わたしはおとなになっていくんだ。

ありがとう、パパ。

いつかとおい国で

すてきなぼうしをプレゼントするよ。

でもいまは

もうすこしだけ

スーツケースのまくらで

夢をみていたいの。

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