夏の雨。

雨上がりのアスファルトの匂い。

古代から
その黒い光は
眠る者を守ってきた。

もしも私がミイラだったなら、
この匂いに懐かしさを覚えても
不思議じゃない。

雨からアスファルトへ。
アスファルトからミイラへ。

辿り着いたのは
知らないはずの私自身。

雨上がりの匂いに
また呼ばれている気がした。

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