子供の頃の誕生日といえば
出前の握り寿司と、あの田楽。
それが祖母にとっての “ご馳走” だったから。
スーパーのお寿司じゃなくて
寿司屋のちゃんとした握り。
田楽も専門店のしっかりした味。
だけど子供の私には
少しだけ量が多くて、
本当はケーキの方が嬉しかった。
不思議とバースデーケーキの記憶はない。
でも、田楽を見るたびに思い出す。
嬉しそうに田楽を並べる祖母の笑顔を。
厳しい人だった。
でも、その中に確かにあった優しさ。
子供の頃には、まだ気付けなかった温度感。
あの日の甘くてほろ苦い田楽味噌。
思い出と共に胸の奥に溶けていく。
ワタシは、良いおばあちゃんになれるかな。


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